具体的には、政治団体「はぎうだ光一後援会」がスポーツイベントを主催していることから、公職の候補者の氏名等を冠した団体の寄付を禁じた「公選法第199条の3」に違反する可能性が高いという。

「はぎうだ光一グラウンドゴルフ交流大会」に参加したことがある地元のまとめ役の80代の男性の証言。

「萩生田さんの後援会の役員になっている人たちから2月くらいに参加者の募集の話があり、3月中には参加者をまとめ、4月に大会という感じです。参加費は500円で、私が集めて用紙にまとめて名前を記入し、提出しています」

 グラウンドゴルフは高齢者に人気のスポーツで、本格的なゴルフとは違い、公園などで手軽に楽しむことができる。そのため、参加希望者は多いという。

「参加者は萩生田さんの選挙区の人ばかり。最初の2、3回目くらいまでは、豚汁やおにぎりなどの昼飯も出てました」(80代の男性)

 スコア上位者には賞品が出るという。

「10位くらいまでありますね。植木鉢の花やお米など、いろんなものが出てますよ。私も2位に入ってもらったことがあります。2~3年前までは安倍晋三首相の特別賞もありました。入賞しなくても、参加賞として去年も今年も、ゴミ袋が10枚程度入ったものをもらいました」(同)

 自民党の中堅の国会議員がこう指摘する。

「地元の有権者にお金、モノを渡したり、ごちそうしたりしたら公選法違反でお縄になりますよ。これは基本のき、どの国会議員でもわかっていること」

 本誌は、萩生田氏の事務所に、グラウンドゴルフ大会などの赤字補填分が公選法に違反する疑いがあることについて見解を求めた。

 萩生田氏の事務所は、文書で次のように回答した。

<政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告している。ご質問の行事は当該政治団体の目的でもある懇親行事であり、参加者から相応の参加費を徴収し実施しているところであり、ご指摘は当たらない>

 食事や景品を振る舞われたとされる参加者は本誌の取材に対し、「追加費の請求はなかった」と答えている。10日発売の週刊朝日12月20日号では萩生田文科相のさらなる疑惑の詳細を報じている。(本誌・上田耕司、亀井洋志)

週刊朝日  2019年12月20日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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