猫ドラマの金字塔「やっぱり猫が好き」に出演し、猫のエッセーや小説を刊行するなど、猫好き女優として必ず名前が挙がる室井滋さん。十数匹同時に飼ったこともあり、今も18歳の猫・タマがいる。しかし、撮影には4月に永眠した「チビ」のパネルを一緒にと、希望した。
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「チビは、特別な猫でした」
生前から、庭にカラスがやってきたとき追い払おうとする室井さんを前脚で押さえるような仕草で「オレが対処するから待て」と制止したり、お風呂に入ろうとすると、前もって風呂場に行ってお湯を尻尾でかき混ぜたり。「人の気持ちがわかるんです」。その性質が最も出たのは、死後。「私の友達の中で最も冷静で、死後の世界や宗教から遠い人」のところへ早朝に「中年の男性の姿になって」出てきた。猫の幽霊?
「そう。チビですって名乗って伝言を頼んだそうです。『そばにいるから』って」。おかげで、常に一緒にいてくれる気がするという。
「信じられない話だと思うんですが、本当の話。私が落ち込まないように、姿を変えて出てきてくれた。最期まで、完璧な猫でした」
(取材・文/工藤早春、本誌・松岡かすみ、吉川明子)
※週刊朝日 2019年12月13日号