こうした動きについて、テクノロジーアナリストでナビゲータープラットフォーム取締役の泉田良輔さんは、次のように指摘する。
「日本でAPIの開放は始まったばかりです。外部業者と銀行が連携することで、新たなサービスが生まれる。利用者による銀行の選別が進むでしょう」
新技術の普及で銀行間のサービス競争は激しくなる。スマホを使える利用者にとってはありがたいが、高齢者は恩恵を受けにくい。
ここまで見てきたように、近くの銀行店舗が突然なくなることは十分あり得る。慣れ親しんだ窓口での引き出しや振り込みができず、“銀行難民”になる恐れがある。
一つの解決策は、郵便局やコンビニのATMを活用すること。過疎地でも郵便局やコンビニは見つけやすい。今年3月末のATMの設置台数は、ゆうちょ銀行で約2万9800台、セブン銀行で約2万5千台、ローソン銀行で約1万3500台、イーネットで約1万3千台に上る。硬貨が使えないATMもあるが、引き出しや振り込みといった基本的な取引はできる。
信用金庫や信用組合、農業協同組合(JAバンク)などの店舗がある地域もある。こうした金融機関の窓口があれば、銀行とほぼ同じサービスが受けられる。
高齢者も自衛が求められる。口座を複数持っている人は、よく使う口座に集約しよう。管理がしやすくなり、休眠口座になるリスクも下がる。金融機関によっては、残高が増えると手数料の割引などの優遇を受けられる。
公共料金やクレジットカード利用料などを引き落とす口座も、まとめたほうがいい。管理ができずに残高不足になると面倒だ。
金融機関の窓口での振り込みは手数料がかかるので、できるだけ回数を減らす。定期的な振り込みには自動送金・振り込みサービスがある。高齢者でもネット取引ができるようになれば、スマホで簡単に振り込むことができる。
買い物ではキャッシュレス決済にも慣れよう。コンビニはもちろん、スーパーや飲食店などでも利用できるところが増えている。ほかにも対策はあるので下の10カ条を参考にしてほしい。