タイトルが象徴するように今回は原点回帰で、これまでのファンはもちろん、初めて見る人でも楽しめるものを目指している。「ソード・シールド」の舞台の「ガラル地方」に加え、「赤・緑」の「カントー地方」、「金・銀」の「ジョウト地方」など、これまでゲームに登場したすべての地方が舞台になる。登場するポケモンも、懐かしいものも含め多種多様になりそうだ。

 主人公はおなじみのサトシと10歳の少年ゴウ。初めてのダブル主人公となり、ストーリは次のように紹介されている。

「ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星の不思議な不思議な生き物。空に、海に、森に、街に、世界中の至る所でその姿を見ることができる。これは、ポケモンバトルで最強を目指す少年サトシと、すべてのポケモンをゲットするという夢をもつ少年ゴウの物語である。サトシのパートナーピカチュウ、ゴウのパートナーヒバニーをはじめとするたくさんのポケモンたちとともに、今、無限に広がるポケモン世界への冒険がはじまる」

 新しいキャラクターの少年ゴウは、幼いころに出会った幻のポケモン「ミュウ」をゲットすることが目標。性格や肌や目の色がサトシと異なる新キャラをダブル主人公にするのは、海外も見据えて、より幅広いファンを獲得する狙いがありそうだ。

 ポケモンブランドを管理する会社「ポケモン」によると、TVアニメは今年3月末時点で、169の国や地域で放送された。新作も海外で人気が高まることが期待される。

「今回はポケモンGOやゲームをやっている方も楽しめるようになっています」

 11月15日の先行上映会でこう語ったのは、サトシ役を務める声優の松本梨香さん。

 歩きながらモンスターを集めるスマホ用ゲーム「ポケモンGO」は、2016年から配信されており米国など世界中で大ヒット。数百万人がプレーしているとされ、アニメを見たことがない利用者も多い。こうした人たちを取り込めば、アニメのファンも増やせる。

 新作アニメを見ると、多くの人たちをひきつけるポケモンの“強さ”が改めて認識させられる。第1話ではピカチュウがサトシと旅に出る前のエピソードが描かれた。進化前だった「ピチュー」が、ある出会いと別れを経験し、ピカチュウになるのだ。

 みなさんご存じのように、ポケモンは基本的にはしゃべらない。ピカチュウやピチュウは、「ピカピカ」や「ピッカチュウー」などと発音するだけだ。それでも、巧みな映像と声優の大谷育江さんの演技力で喜怒哀楽が伝わってくる。ひとりぼっちだったピチュウが悲しみを乗り越え、ピカチュウに「進化」するのは感動的だ。

 こうした感動は、日本語が分からなくても直感的に伝わりやすいので、アニメを海外展開するときに有利となる。ピカチュウの「ピカピカ」といった発音は、もはや世界共通語といえるかもしれない。

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声優の花澤香菜さんが思わず「やったー」と叫んだわけ