対GDP比の中央銀行の負債を見ても、日銀は世界で突出している。ECB(欧州中央銀行)、FRB(米連邦準備制度理事会)、BOE(イングランド銀行)の20~30%台に対し、日銀は100%をすでに超えた。私が銀行マンだった1990年代は20%以下だったのだから様変わりだ。日銀は経済規模に見合わないほど負債を膨らませ、お金を市場にばらまいている。

 さらに日銀は、前回書いたとおり、長期国債や株、不動産などの市場における市場占有率が世界ダントツのトップだ。ここまで市場を席巻し、長期債市場でのように「モンスター的存在」になれば、価格はほぼ思ったとおりにコントロールできる。日銀のように市場原理が働かず損得判断以外で行動する組織が市場を牛耳るのは、資本主義経済とは呼ばない。計画経済だ。

 そして、さらなるナンバーワンといえば経済成長率。残念ながら下からのナンバーワンだ。10年、20年、30年、40年、どのスパンでみてもビリ成長なのだ。私が、現状が異常だと申し上げる理由がおわかりだろうか?

 こんな状態になったのは枝葉の問題ではない。なにかシステム的、根本的な間違いがあるはずだ。それを修正することが喫緊の課題だ。このトレンドを変えないと、日本は世界の三流国、いや四流国になってしまう。

 最終回には、なぜ日本がこんな状態になってしまったのか、どこをどう修正すべきなのかを書く。

週刊朝日  2019年11月29日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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