サモア戦の前半、トライを決めた日本代表のラファエレ・ティモシー(手前)(C)朝日新聞社
サモア戦の前半、トライを決めた日本代表のラファエレ・ティモシー(手前)(C)朝日新聞社
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日本代表のピーター・ラブスカフニ(C)朝日新聞社
日本代表のピーター・ラブスカフニ(C)朝日新聞社

 10月5日に愛知・豊田スタジアムであったラグビーのワールドカップ(W杯)で、1次リーグA組の日本が38−19でサモアを破り、開幕3連勝とした。史上初のベスト8入りをかけて、13日に横浜国際総合競技場でスコットランドと戦う。

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 強豪アイルランドを下した9月28日の一戦では4本のペナルティーゴール(PG)を決めたスタンドオフの田村優に、途中出場ながら逆転のトライを決めたウィングの福岡堅樹、何度もボールを持って前進するなどチーム最多15回のボールキャリー数を記録したフランカーの姫野和樹らが称賛された。

 外国出身選手の活躍も見逃せない。ラグビー界は国籍主義の五輪とは違って所属協会主義を採用しており、血縁(両親や祖父母が当該国出身であること)や地縁(3年以上継続して当該国に在住など)があれば、代表選手としてのプレーが可能になる。W杯のメンバー31人のなかにも南半球の国々を中心に15人の海外出身選手がおり(うち8人は日本国籍を取得)、彼らの存在がジャパンの躍進を支えている。長く日本の弱点とされてきたパワー不足を彼らが補ってくれていると言ってもいい。

 初戦のロシア戦で華麗なオフロードパス(タックルを受けながらパスをするプレー)で松島幸太朗のトライを演出したサモア出身でセンターのラファエレ・ティモシーは、アイルランド戦でも福岡のトライにつながる絶妙なアシストをマーク。相手を引きつけながら捕球し、素早くさばいたパスには技術と戦術レベルの高さが凝縮されていた。サモア戦ではトライを決めた。

 そして、南アフリカ国籍でフランカーのピーター・ラブスカフニはロシア戦で約50メートルを独走するトライを挙げたほか、アイルランド戦では18回のタックルを試みるなど、豊富な運動量と黙々と仕事をこなすスタイルでチームを牽引。今年7月に代表デビューしたばかりだが、リーダーシップの高さが評価され、その試合でいきなりゲーム主将に指名された。W杯でもリーチ・マイケルに代わってゲーム主将を任されるなど、チーム内での信頼は厚い。

「チャンスをくれた日本に恩返しがしたい。日本代表としての誇りを見せたい」

 派手さはないが、ひたむきにプレーする彼らからはそんな思いが感じ取れる。

 スコットランド戦でも彼らの献身的なプレーがあるはず。日本代表に欠かせないキーマンとも言えるティム(ラファエレの愛称)とラピース(ラブスカフニの愛称)。彼らを知ればラグビー通にも一歩近づける。(栗原正夫)

※週刊朝日オンライン限定記事