

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「佐藤二朗と斎藤工が行きたくない街No.1名古屋のドラマに出演するにあたり色々考えてみた」(テレビ東京系9月22日16:00~)をウォッチした。
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全国8都市(札幌、東京23区、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)のうち、行きたくない街ナンバー1、だという名古屋。
そんな名古屋のイメージアップのため、愛知県出身の俳優・佐藤二朗が、旧知の斎藤工(東京都出身)を引き連れて、名古屋リサーチの旅に出かける。
テレビ愛知の社運をかけた新感覚「フェイクドキュメントドラマ」って、いちいち大げさな謳(うた)い文句。
だって以前、何かと名古屋を揶揄(やゆ)していたタモリが、「ブラタモリ」(NHK総合)で当地を訪れるって決まった時の、名古屋のざわつきようったらとんでもない。
「タモリ、名古屋と歴史的和解へ」ちゅーことで、中日新聞は記事にするわ、テレビ塔にはLEDでタモリのシルエットが浮かび上がるわの大騒ぎ。何かっつーと過剰。何かっつーと味噌(みそ)で煮込んじゃう、それが名古屋。
だから「フェイクドキュメントドラマ」って言ってもね、普通に街歩きロケだ。(名古屋市の代表的な商店街の)大須歩いて、ういろう屋やきしめん屋めぐって、味噌おでん食って、喫茶マウンテンへ行く。
そこで登場、「甘口いちごスパ」。ピンクの麺にこってり生クリーム。絵づらの圧がすごい。見てるだけで胃がもたれる、河村たかし名古屋市長の顔レベル。
そして謎の赤い飲み物「マメイー」(メキシコのフルーツらしい)。一口飲んだ斎藤工がつぶやく。
「正直に言っていいですか? サンオイルの味がします」。むしろ飲んでみたい。
番組後半は、東京男・斎藤が彼女の実家(名古屋)に挨拶(あいさつ)に来たというドラマがいきなり展開。愛知県出身の平泉成や松井玲奈をまじえ、佐藤二朗がフリーダムに暴れ、終始ぐだぐだ。
やってることは街ロケと変わらず、しるこサンドを食う、冷やし中華には迷わずマヨネーズをかける、喫茶マウンテンの激辛スパ「赤いワンピース」を食う。
と、ひたすらゴリゴリとB級グルメでぶんなぐってくる。そしてイケメンボイスのエンディングナレーション、「斎藤工にとって名古屋は、行きたい街に変わりました」。
てきとー。シメてきとー。社運をかけたわりに、これといって名古屋に行きたくならない仕上がりが、絶妙に名古屋。唯一ためになったのは、「ちんちん(熱い)」の最上級が「ちんちこちん(すごく熱い)」なこと。
※週刊朝日 2019年10月11日号