医師の国家試験の男女比率をみていると、2005年から完全に女性の医師が3割前後で、ずっと横ばいになっている。これは東医が差別を認めた06年というのとほぼ重なる。厚生労働省は女性の医師の労働力を0.8として計算して医師の数を調整しているが(60歳以上の男性医師も0.8で計算されている)、女性が全体の3割になるような調整を大学の入り口でしている可能性は高い。今発覚している大学の「得点調整」という名の性差別は、氷山の一角ではないか。

 今後、裁判で明らかにされることは大きいだろう。第1回の兆しは良いようにみえた。裁判官が昭和に第三者委員会の報告書提出を求めたのだ。昭和は女性差別を認めず(現役生に加点、と説明していたが、ここ5年間22歳以上の女性は一人も合格していない)、第三者委員会の報告書も公開していなかった。第三者委員会の報告書が公開されることで、昭和の不正の方法が明らかになるだろう。これが訴訟を起こす意義なのだと改めて思う。

 次の公判は12月。忘れるわけにはいかない。むしろ今、始まったばかりの闘いなのだ。

週刊朝日  2019年9月27日号

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