ここで注目されるのが、安倍政権が参議院選終了まで隠していた年金の財政検証の結果を公表し、これから社会保障改革に取り組む準備を進めていることだ。そこでは、医療、介護、年金いずれの分野でも、はっきりとした負担増と給付カットという大きな痛みを伴うメニューが目白押しだ。おそらく野党はほとんどの提案に「絶対反対」という姿勢を取るのだろう。
しかし、有権者は冷静だ。消費増税への反対も、社会保障改革の議論を聞けば、「やむを得ない」、さらには、「社会保障のためなら増税すべきだ」と世論が変わる可能性も十分にある。社会保障の負担増なども「現実解」として一定の理解が広がるだろう。
そんなときに、野党側が、れいわの「消費税廃止」あるいは「5%への減税」などに乗って、「財源なきバラマキ」政策を唱えたり、安易に「大企業に増税を!」と叫んだりすれば、安倍政権の提案のほうがまじめな「改革」で、反対かバラマキしか案がない野党は信頼できないということになる。
国会内での立民と国民の主導権争いなど、どうでもいい話だ。
有権者が渇望しているバラマキではない税と社会保障一体改革の「まじめな対案」を準備することこそが、真の野党復権につながることを肝に銘じてほしい。
※週刊朝日 2019年9月20日号