9月11日に行われる内閣改造と自民党役員人事に注目が集まっているが、「麻生副総理・財務相、菅官房長官留任」「二階俊博幹事長留任の方向で調整」などと報じられ、安倍一強体制の土台は揺るがないようだ。
一方、これを迎え撃つ野党側も、10月4日開会予定の臨時国会に向けて、立憲民主党と国民民主党の国会内会派合流の最終調整を進めている。2大野党合流で、国会での論戦が本格化するのではないかと期待する人もいるだろう。
次の国会では、日米貿易交渉の「成果」である協定案や農産物関税引き下げの関税定率法改正案について、野党側が厳しく追及する展開が予想される。10月の消費税増税実施後に中小小売業を襲うと予想されるキャッシュレス対応の大混乱も、野党側としては格好の攻撃材料だ。インバウンド観光客の激減など日本経済への深刻な影響が出始めたのに、解決の糸口も見いだせない日韓泥沼対立も批判対象となる。さらに、この臨時国会に自民党が憲法改正案を提示すれば、野党側の対決モードは一段とギアアップされるだろう。
しかし、攻撃材料がたくさんあるから野党にとって有利だと楽観すると、とんでもないしっぺ返しにあう可能性がある。なぜなら、先に挙げたいずれのテーマでも、政府側の政策や提案を野党はことごとく批判するだけで何らの対案も示せないまま終わることになりそうだからだ。
7月の参議院選挙では、れいわ新選組が大きな支持を集めたのに対して、野党第1党である立憲民主への支持は前回の衆議院選挙よりも大幅に減少した。その最大の原因が民主党政権時代の負のイメージだと言われる。特に、若年層でその傾向が強い。その裏返しとして、若年層では、安倍政権支持がどんどん増えている。その理由は、安倍総理が、野党と違い、いろいろなものを変えようとする「改革派」だとみられているからだ。そうだとすると、臨時国会で、大同団結した野党側が、安倍政権や自民党の提案をことごとく否定するだけという展開になれば、どうなるのか。