日本ではCOPDの主な原因は喫煙と受動喫煙で、ぜんそくもCOPD悪化の原因の一つ。ただ、喫煙習慣のない人でも、呼吸器の機能が極端に衰えてくると、COPDと同じような息苦しさが出てくるという。人間ドックなどでこうした人の肺年齢を調べると、実年齢よりも高い結果に。自覚症状がある人は一度医療機関で調べてもらったほうがいいだろう。

 肺機能は加齢とともに低下するため、以前よりも息切れしやすくなった、最近、呼吸が浅くなったと不安を抱いている中高年は少なくないだろう。そんなシニア読者のために、肺機能を鍛える方法を紹介しよう。

 日野さんがすすめるのは、ウォーキング。病気ではなくても、呼吸器の機能が弱っている人は、運動をして脚の筋肉をつけてほしいと日野さんは言う。肺と脚の筋肉には何らかの関係があるとされ、ドイツのCOPD重症患者を対象にした研究では、1日の歩数が多い人ほど生存期間が長かった。

「毎日、歩数計やスマートフォンを持ってウォーキングし、歩数を記録する。目安は1日7千~8千歩。膝を痛めないためにはエルゴメーターなどの自転車型トレーニング器具もいい。負荷と時間を記録し、週3回はこいでください」(日野さん)

 本間さんもウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動をすすめる。

「普段からよく歩いたほうがいい。足腰を鍛えるというだけではなく、有酸素運動は呼吸の動きに直接かかわっているんです」

 呼吸は、肺のまわりにある筋肉の「呼吸筋」が胸を膨らませたり、縮ませたりすることで成り立つ。筋肉は一般的に、瞬発力を出すのが得意な白筋と、持続力に必要な赤筋に分けられるが、呼吸筋には赤筋が多い。

「赤筋は有酸素運動によって機能を良好に保つことができる。だから、有酸素運動をして呼吸筋の働きをよくすることが、健康長寿につながるのです」(本間さん)

(ライター・仲宇佐ゆり)

週刊朝日  2019年9月13日号より抜粋

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