野尻哲史(のじり・さとし)/1959年、岐阜県生まれ。2019年5月から、運用・移住・仕事など多面的に退職後のお金との向き合い方を発信するフィンウェル研究所の代表。主な著書に『定年後のお金』(講談社+α新書)、『脱老後難民』(日本経済新聞出版社)など (撮影/写真部・掛 祥葉子)
野尻哲史(のじり・さとし)/1959年、岐阜県生まれ。2019年5月から、運用・移住・仕事など多面的に退職後のお金との向き合い方を発信するフィンウェル研究所の代表。主な著書に『定年後のお金』(講談社+α新書)、『脱老後難民』(日本経済新聞出版社)など (撮影/写真部・掛 祥葉子)
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金融詐欺被害にあったことがあると回答した人の比率(単位:%) (週刊朝日2019年9月6日号より)
金融詐欺被害にあったことがあると回答した人の比率(単位:%) (週刊朝日2019年9月6日号より)

 フィンウェル研究所代表の野尻哲史さんが、「定年後の生活」について綴る「夫婦95歳までのお金との向き合い方」。今回は「金融リテラシーについて」。

【金融詐欺被害にあったことがあると回答した人の比率はこちら】

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 前回に続いて金融リテラシーについて話を進めてみます。リテラシーが「識字能力」といったような意味ですので、金融リテラシーとは、金融知識というより、もっと生活に直結する「金融行動に対する理解力」のようなものです。

 さて、読者のみなさんは、金融リテラシーが同年代の人に比べて高いと思いますか? 同年代の水準がわからないと思われるかもしれませんが、自身の金融リテラシーの自己評価だと思っていただければ、それで結構です。同年代と比べて高いか、低いか、どちらでしょう?

 ところで前回の本稿で金融リテラシー・クイズをやっていただいたと思いますが、何点でしたか。同クイズは「金融広報中央委員会」が、2万5千人を対象にした金融リテラシー調査のなかで行っているもので、より簡便に測ることができるように開発されたものです。

 年代別にその点数の平均値を計算した結果は、18~29歳で40.8点、30代で48.0点、40代で51.1点、50代で55.2点、60代で59.3点、70代で59.8点でした。みなさんの点数は、どれくらいでしたか?

 金融リテラシーの自己評価と点数は整合的でしたか? 金融リテラシーの自己評価が高くて、クイズの点数も自分の年代の平均より高かった方は整合的です。自己評価が低くて、点数の低い人も同じく整合的といえます。逆に自己評価が高くて点数が低い人は「自信過剰な人」、自己評価が低くて点数が高かった人は「過小評価な人」と呼んでいいでしょう。

 フィデリティ退職・投資教育研究所のアンケート調査「高齢者の金融リテラシー」(2019年2月)をもとにしたコラム「自信過剰は金融詐欺の被害にあいやすい」(19年5月23日)では、4つのセグメントに分けて金融詐欺被害の発生率をまとめています。

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