登山好きとして知られる徳仁天皇。これまで日本百名山など170座を超える山々に登頂してきた。それらのなかから、初心者でも本格的な登山の気分を満喫できる山で、徳仁天皇も歩いたルートを一部紹介する。同じ道を歩き、「ロイヤル感」を味わってみては。
「少し歩くだけで、皇太子さま(当時)は普通の人とは違い、山を歩き慣れていることがわかりました。優しくも力強い。慈しむようでもありました」
そう話すのは、那須山岳救助隊前隊長の大高登さん。徳仁天皇が皇太子だった1992年から、徳仁天皇が那須の山々を登る際には、ほぼ毎回、案内役を務め、約20年間で十数回、一緒に歩いたという。
初めて大高さんが徳仁天皇を案内したのは那須連山の最高峰、三本槍岳(1917メートル)だ。那須連山は火山であり、登山道が整備されているとはいえ、大きな岩や石が散乱しているガレ場が多い。歩き慣れていないと、足をくじいてしまう。
「お足もとはとくにお気をつけくださいと、殿下にはよくよくお伝えしました」(大高さん)
一緒に登ってみるとそんな心配は無用で、徳仁天皇はしっかりとした足取りで歩みを進めたという。
徳仁天皇が初めて登山をしたのは5歳のとき。軽井沢にある離山(はなれやま)だ。以来、富士山をはじめ、3千メートルを超える北岳や仙丈ケ岳など、日本百名山の約半分を含む約170座に登頂している。なかには中級者レベル以上の技術が必要な山もあり、それだけの技術の高さと体力があることをうかがわせる。
「『殿下は足が達者なので、そのペースに合わせると私どもがついていけなくて困ります』とお付きの方が心配していました」
そう語る大高さんも、その歩きに目を見張ったという。
徳仁天皇が皇太子時代の2005年に八ケ岳の権現岳を登った際に同行した、八ケ岳山岳ガイド協会の竹内敬一会長もこう語る。
「トレーニングされているようで、しっかりした足取りでした。息が切れることなどなく、一定のペースを守り登山慣れしていることがすぐわかりました」