室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

『表現の不自由展・その後』を巡り、さまざまな意見のある『あいちトリエンナーレ2019』。作家の室井佑月氏は、政治家の発言に危機感を示す。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 8月4日付の東京新聞によると、「愛知県で開催中の国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』実行委員会は三日、慰安婦を象徴した『平和の少女像』などの展示を同日までで中止すると発表した。実行委会長の大村秀章・同県知事が記者会見し『テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況だ』と理由を述べた」という。

 このことがあって、『あいちトリエンナーレ2019』『表現の不自由展・その後』について調べてみた。16人の作家による作品が展示されていて、昭和天皇や慰安婦問題など第2次世界大戦に関連する歴史をテーマにした作品が注目を集め、一つ一つの作品の側には、「その作品が展示された美術館から撤去された理由」が紹介文として書かれているという(BuzzFeed News 冨田すみれ子さん「3日間で終わった『表現の不自由展』、中止された展示内容とは」より)。

 芸術監督を務めた津田大介さんは『表現の不自由展・その後』の企画意図について、「撤去された作品の実物とともにその経緯を鑑賞することで、議論が分かれる『表現の自由』という現代的な問題について議論するきっかけにしたい」といっていた。

 展示されている作品はイデオロギーが強い。だからこそ実際にその作品を見て、賛否両論、話し合ったりすることに意味があるんじゃね? 『平和の少女像』なんて、まさしくそれを目指した展示だろう。日韓はここまで仲が悪くなってしまったんだし。

 なのに、河村たかし・名古屋市長が中止を求めたり、菅義偉・官房長官が補助金交付を慎重に判断する考えを示したり。ほかにもたくさんの政治家が怒っていた。

 話し合いを良しとしない政治家ってどうなの? 結局、慰安婦について捏造だと言い張る政治家が頑張っちゃったってこと? 歴史修正主義は世界から白い目で見られてるっつーのに。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ