──お寺や病院などとの関係に変化はありますか?

C:格安葬儀に対して不満は持っているでしょうね。

B:何度か住職から怒られたことがあります。喪主さんからの依頼を受けて火葬式をやったときに、「控室はどこだ!?」「3分でお経だと!?」「飲み物も出ないのか!?」と。事前に、喪主さんに火葬式は10分程度、面会して炉前でお経をあげてもらうのは3分だけと伝えても、喪主さんが菩提寺さんに伝えきれないことがあるんですよ。「火葬だけで故人を送っていいのか?」と詰められるみたいで。結局、その方は3分の読経だけで30万円のお布施を払わされ、住職の圧力に負けたのか、後日、お寺で告別式を開いたとか。

A:知り合いの住職は完全な銭ゲバ坊主。大手の互助会系葬儀屋を何社も集めて、「檀家を紹介してやろうか?」と話をしたらしいんです。でも、要求するバックマージンが高すぎて折り合いがつかず、ウチに話が流れてきたんです。一般葬が大半なので単価は高いのですが、ウチは数十%のマージンを取られています。

B:それはかなり取られてますね。ネット葬儀の手数料が高くて2割ですし。

A:さらに、聞いたら花屋や料理屋からも数十%のマージンを取ってたんですよ。

B:葬儀屋をカモにするような病院は減ったんじゃないですかね?

A:理事長や院長と会っても、意識的にお金の話をしないようにしている印象がありますね。葬儀屋との癒着が疑われるのを、警戒する病院が増えた。

C:でも、5年前に神奈川県の某市に私立大学系の病院が開業したときには、大手互助会系の葬儀屋が1億円積んで、出入り業者になったと聞きました。民間の病院では「エレベーターを設置したいから1千万円寄付して」と葬儀屋にタカるところがある、という話は今でもよく耳にします。

A:病院の出入り業者になったら、ある程度の出費は覚悟せざるをえませんよね。いつ患者が亡くなっても動けるように、24時間態勢で2人の担当者を病院近くに確保した待機所につけておかないといけないから、固定費で月に100万円は発生する。患者が亡くなったら20~30分で病室に駆け付けて、霊安室に運ばなくちゃいけない。

B:その固定費を回収しなければならないからか、出入り業者には悪質な葬儀屋が多い印象があります。喪主さんから葬儀の依頼を受けて、病院までご遺体を引き取りに行ったら、出入り業者から「今、喪主と葬儀について話し合っているところだから帰れ!」と追い返されそうになることは多い。遺体が腐食するまで、引き取らせてもらえなかったこともあります。お父さんが亡くなられたあとに「あまり変な葬儀社を使うと、お母さんの入院に支障が出るかもしれませんよ」と脅されるケースもあると聞きました。

週刊朝日  2019年8月16日‐23日合併号より抜粋

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