誰もが一度は付き合うことになる葬儀屋。しかし、なんだか近寄り難い雰囲気もある。中には法外な料金を吹っ掛けるあくどい葬儀屋もあるという。格安葬儀の落とし穴は? 病院との癒着は? お寺との関係は? ジャーナリストの田茂井治氏が絶対匿名を条件に、HPやお寺を介して葬儀を請け負うネット葬儀社のA氏、業界歴20~30年のベテランスタッフ数人で、社葬などの大規模な葬儀も請け負うB氏、互助会系を経て独立したC氏ら葬儀屋社長3人から聞いた。
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──割安な葬儀を仲介する“ネット葬儀社”が増えていますが、その影響は?
A:低価格化が加速しましたね。10年前と比べて、半額程度で同じ規模の葬儀ができるようになりました。
B:規模も小さくなりました。参列者が50人に満たない家族葬が主流になり、火葬だけ行う火葬式や告別式だけの一日葬がここ10年で急激に増えました。
A:エンディングノートの影響もあると感じています。ノートを残される方の大半が「家族だけの葬儀を希望する」と書くので。
C:あくどい葬儀屋も増えたと思いません? ネット葬儀社の影響で、「とにかく安くすれば客が取れる」と考えて、無茶苦茶な料金を提示する葬儀屋が目につく。私の地元の、ある葬儀屋はHPで「家族葬26万円~」とうたっている。
B:異常に安いですね。小さなお葬式、イオン、よりそうのネット葬儀社大手で50万円程度なのに。
C:そのプランを見ると、祭壇と棺、骨壺、白木の位牌、枕飾りなど、葬儀に必要なものはセットでついているように見えるんですけど、別途費用に車両費、遺影写真、ドライアイス、料理、返礼品、お布施と記載されているんです。お客さんはご存じないかもしれませんが、料理・返礼品・お布施はネット葬儀でもどこの葬儀屋に頼んでも別料金。参列者の人数で変わるし、お寺によってお布施はまちまちですから。この三つはいいんです。でも、車両費が別料金なのはありえない。病院で亡くなられたら、葬儀屋がご遺体を病院から安置所に運び、葬儀の日に合わせて安置所から葬儀場へ運び、さらに葬儀場から火葬場へ運ぶもの。平均して2~3運行は発生するのに、病院から自宅までご遺体を運んでもらって、さあ葬儀プランを考えようという段階ですでに別料金が発生しているわけです。