一方、15年の街中心部の再開発で複合施設が建設された。1階にバスターミナル、2~4階には医師会の協力を得て急患センターと看護学校、訪問看護ステーションといった医療福祉施設を移転。5~11階は約60戸の分譲マンションになっている。市都市計画課の担当者はこう話す。
「医療、福祉の施設をまとめ、居住者も街中に誘導したことで、福祉サービスを効率よく提供することにつながっている。マンションには郊外からの高齢者も移り住んだと聞いています」
他のマンションや商業施設の建設も進み、コンパクト化による地域活性化の兆しはあるという。
コンパクトシティ以外の対策では、「移民政策」が有用な手段となり得る可能性がある。
地方では人手不足から外国人労働者が不可欠になっている地域もある。大学では留学生が増え、少子化にあえぐ大学経営を支えている側面もある。
人口急減・超高齢社会について議論した政府の経済財政諮問会議の専門調査会は、14年に移民の受け入れについて試算を行っている。これによると、15年以降毎年20万人の移民を受け入れ、出生率を30年までに2.07まで回復させる施策を打つことで、1億1千万人程度の人口を2110年まで維持できるとしている。
安倍政権は移民政策に反対の姿勢を見せているが、賛成の国会議員も少なくない。どういった日本の将来を描くか。結論を出す時期にきている。(本誌・吉崎洋夫、田中将介)
※週刊朝日 2019年8月9日号より抜粋