
やわらかくて食べやすい。滋養強壮にいいけれど、胃にもたれない。そんな“いいことずくめ”のスタミナ料理を、2人の料理研究家に提案してもらいました。夏バテ防止のためにぜひご活用ください。ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏がリポートします。
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この2年間、大阪で高齢者施設向けに給食を提供している会社のメニュー開発に携わってきた料理家の本田明子さん。
「夏はついつい冷たいものを食べてしまうものですが、あまり胃腸を冷やしすぎないように気をつかうことも大切です。ただ、温かくてほくほくしたものは、年齢を重ねるごとにだんだんのみ込みにくくなるもの。そこで高齢者の方にも食べやすいように、なるべく汁気の多い温かいメニューを考えてみました」
まず、夏のスタミナ食材・山芋を使った2品を紹介していただこう。冷やしたとろろもおいしい季節だが、「鶏団子の長芋煮」はたっぷりのだし汁で作る。
「だし汁で鶏団子を煮たあと、長芋を加えて煮るだけなので、とても簡単な料理です。上手に作るポイントは、長芋を10分煮て火を止めたあと、1~2分蒸らすこと。長芋は味がしみ込みにくいのです。できれば5分蒸らすのがベストです」
そしてしそとおろし生姜と共に食べる。
「食欲がダウンしがちな季節は、しそや生姜などの香味野菜で食欲を刺激することも大切です。またおろし生姜を食べて発汗し、体内に熱がこもらないようにすることも、夏バテ防止につながると思います」
「山芋のトースター焼き」は粘り気の強い大和芋で作っても、水気の多い長芋で作ってもかまわない。
「山芋というのは、ヤマノイモ科の芋の総称です。この料理はどちらの芋を使ってもおいしくできますが、大和芋で作る場合は、若干だし汁を多めにします」(レシピ参照)
こちらも三つ葉やおろし生姜入り。オーブントースターで焼くと、フワフワ食感の“山芋ケーキ”に。
「山芋や卵といった消化のよい食材だけで作りますので、体がちょっと疲れ気味かな、というときにぜひ。次の日の朝、あからさまに元気になります(笑)」