西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、投手の起用法について語る。
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貴重な体験をさせてもらった。7月15日にメットライフドームで行われた西武−ロッテ戦で始球式をさせてもらった。毎年のように、何らかの形でマウンドに上げてもらっているが、今回は「球団創設70周年アニバーサリーシリーズ」として、長女の理子、そして孫の理汰郎と3人で登板することができた。
2017年の開幕戦でも3人そろった始球式はあったが、今回は3人ともノーバウンド投球ができた。私自身が届くか心配になったけど、何とか届いてくれた。理汰郎も小学1年生。「楽しかった。将来は西武ライオンズに入りたい」と話していたが、本当に良い球を投げるようになったし、バットスイングも強くなってきているのを感じる。
理汰郎は幼少期から何度も西武の試合を見せに行ったこともあり、西武ライオンズファンである。今では先発メンバーを全員言える。始球式の日には山川、森、秋山にサインをもらっていた。私自身、選手、監督として球団にお世話になったこともある「特権」ではあるが、ほほえましかった。ただ、ちょっと待てよ、とも思う。孫がおねだりしたサインはすべて野手。投手はいなかった。客観的に見ると、少し寂しい気持ちにもなるね。
先発投手は野手と違って毎試合出るわけではないが、登板試合では試合の勝敗の大きなウェートを占める、いわば主役である。特にエースピッチャーなどは、注目の的であってほしい。しかし、今の西武はどうか。昨季最多勝の多和田が不調で長く2軍で調整した。今井、高橋光といった若い投手も、一定の成績を残しているとはいえ、エースといえるものではない。
現在、勝率5割前後をうろつく西武が、大型連勝していくには、強力打線の爆発に加えて、投手陣が3、4点で抑えていく戦いが必要になる。特に先発投手が任された試合でどれだけ長く投げられるか。救援陣は登板がかさんで疲れている。先発投手が頑張らないと、投手陣のバランスは一気に崩れてしまう。先発投手は前半戦の1勝以上に、後半戦は1勝を挙げるのが難しくなる。打線もデータがほぼそろい、初対戦というものはなくなってくるから、相手もしっかり対策を立ててくる。