参議院選挙が終わった。選挙でも争点の一つとなった消費増税には10月の実施に向けてさらに世論の関心が集まるだろう。この問題は、一つ間違えば、政権への支持率に大打撃を与える可能性がある。そこで、安倍政権は、庶民の不満をかわすための椀飯振る舞いを準備した。
中でも、キャッシュレスによる支払いへのポイント還元は驚くべき内容だ。増税分の2%にとどまらず、中小商店では合計5%分還元される。増税前の価格からさらに3%分余計に割引されるのと同じ。何と気前のいい話だろう。
その背景や問題点については別の機会に触れるとして、そこまでして政府がキャッシュレス化を進めるのであれば、ぜひ、やってほしい政策がある。
それは、政治資金のキャッシュレス化である。
例えば、政治献金では、現金の手渡しを禁止し、銀行振り込みまたはキャッシュレスによる支払いに限定する。それにより、全ての政治資金の「入り」が第三者により記録される。
支出も、現金支払いを禁止し、キャッシュレス決済に限定すれば、全ての支出が1円単位まで記録される。
これらの全てのアカウントは政治資金の管理専用のものとすることを義務付けて、個人的な収支との混同を防止する。さらに、収支のデータは、四半期ごとにネットで詳細な使途とともに公開することとする。
政府がこれだけ「キャッシュレス!」「キャッシュレス!」と掛け声をかけるのだから、国会議員が率先してキャッシュレス化を実行するのは当然のことだ。安倍政権は反対などできないはずだ。
その上でもう一つ実行してもらいたいことがある。それは、政治家の銀行口座やすべての資産をマイナンバーカードとリンクすることだ。
政府は6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で、マイナンバーカードの普及に向けた総合的な対策を決定している。マイナンバーカードの普及率は約13%(2019年4月)。これを22年度中にほとんどの住民が保有することを目指すとした。具体策としては、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにしたり、カードを使って簡単に医療費控除の手続きもできるようにすることなどを挙げる。