さてこの3つの収入ですが、いかに増やすかということも大切ですが、それよりもいかに長く、必要な生活費をカバーできるかを念頭に考えていくべきだと思います。そのときには税金も考慮する必要があります。
例えば、65歳から70歳まで、公的年金20万円+勤労収入10万円+資産収入10万円の月額40万円の退職後年収の場合、課税の対象となる所得は30万円。70歳で仕事から完全引退すると、公的年金20万円だけが課税対象になりますが、資産収入は20万円が必要です。
これを70歳まで働いて公的年金を受け取らず、勤労収入20万円と資産収入20万円にすれば、課税対象は20万円。70歳以降は公的年金が繰り下げ受給で28万円になり、課税対象は28万円に増えますが、資産収入は12万円で済みます。
公的年金と勤労収入は課税所得に合算されますから、あまり多くなっても税金や社会保険料などの負担が増えます。課税対象とならない資産収入とのバランスを長期的な視点で考えることは大切です。
※週刊朝日 2019年7月19日号