4つ目が緑内障だが、通常の緑内障とは進行のパターンが異なるため、「近視性視神経症」といって区別されることもある。

「後部ぶどう腫が悪化した段階で治療ができれば、ほかの病気に進行するのを防げるかもしれませんが、治療法がありません。牽引黄斑症や脈絡膜新生血管、緑内障は、進行を食い止めるような治療ができることもあるので、とにかく強度近視の方で変視症などの症状が変化した際は、眼科を受診して鑑別してもらうことが大切です」(平形医師)

 近視は遺伝的要因が大きいとされているが、近年増加傾向にあり、かつ若年化していることから環境的要因も大きいと考えられている。文部科学省の「2018年度学校保健統計調査」によると、裸眼視力0.3未満の子どもの割合は小学生9.3%、中学生25.5%、高校生39.3%だが、1979年度の調査ではそれぞれ2.7%、13.1%、26.3%で、1.5~3倍に増えている。

 さまざまな環境的要因が指摘されているが、世界的にも認められているのは「近業の増加」と「外遊びの減少」だ。スマホやゲーム、読書など、目から近い距離で作業をすると、近視が進行することがわかっている。また、屋外で1日2時間以上遊ぶことは、近視の予防になるとされている。鳥居医師はこう話す。

「一つの仮説として、可視光下限の波長で実際に紫色に見える『バイオレットライト』が、子どもや成人の近視進行を抑制する可能性があることを私たちは報告しました。ただ現代社会において1日2時間以上の外遊びを毎日続けるのは難しいため、安全かつ有効な近視進行抑制治療としてバイオレットライトが将来生かせるようになると、希望が持てると思います」

 近視については、日本近視学会の「親子で学ぶ近視サイト」の情報などが参考になる。(ライター・中寺暁子)

週刊朝日  2019年7月12日号