──レオは泣くシーンもかなりありますね。

L:確かにかなりある(笑)。

B:映画史に残る、メルトダウンの名演技だと思うな(笑)。

L:あのような面は、人間誰もが共感できる点だと思う。頭の中に自分に対する懐疑の声が聞こえてくる。それをリックは克服しようとしている。大量のウイスキー・サワーの助けを借りてね。クエンティンに提供された役だから、可能な限り真実に近い形で演じるしかないと感じた。時には俳優として人間の限界に挑戦しなければならないこともある。

──あなた方の演じる2人の友情について、説明してもらえますか?

L:2人の関係を描く方法がとても好きだな。俳優というのは孤独な職業だよ。だからこそ、同じ映画で仕事をする人たちとは家族のような関係になるんだ。その典型がこの2人だよ。クリフはほぼリックの妻みたいな存在になる。孤独だからこそ、沈んだ心を明るくしてくれる誰かが必要なんだよ。2人はプロとしての関係で結ばれているが、同時に家族のような関係でもあるんだ。とっても良い、美しい関係だよ。

──リックはウエスタン映画に出演中という設定ですが、お2人はウエスタン・ファンですか?

L:興味深いのはクエンティンが、映画史、映画の知識に長けているだけではないということ。彼はシネフィルなだけではなく、音楽についても、テレビについても異常に詳しい。この映画は、そんな彼が自分に影響を与えたすべてのことに対する愛を織り込んだ作品なんだと思う。ウエスタン映画を僕らの世代はあまり知らない。クエンティンは映画史から忘れられ、消えてしまった重要な部分をスクリーンに持ち帰ろうとしたのではないかな。

──お2人ともハリウッドの大物スターですが、あなた方のキャリアを脅かすものとは何でしょう?

B:自分のエゴだろうな。思い上がり。

L:それはとっても良い答えだな。

(取材/文・高野裕子)

週刊朝日  2019年6月28日号

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