富士フイルム広報によると、値上げへのクレームはほとんどなかったという。
「価格改定を案内したとき、販売を続けてもらえてよかったという声を多くいただきました。継続して販売できるようにしていきます」
こうしたユーザーの声について、博報堂生活総合研究所の夏山明美氏は言う。
「今は簡単に写真を加工できたり、その場に行かなくても情報を得られたりする便利な時代。その反動で手作りのものや体を使うもの、いわゆるアナログ志向が出てきています。フィルムカメラはいい意味で完璧じゃないところが楽しみになっているのでは」
同研究所の調査によると、20~69歳で新製品に関心があると答えた人は、1996年の29%から2018年は19%に。さらに20~29歳に絞ると、96年の37%から18年は20%と割合が半分近くになった。
「物があふれる時代に育った人は、新しいか古いかではなく、おもしろいかおもしろくないかで判断する傾向になってきました」(夏山氏)
フィルムカメラも工夫次第で再ブームを起こせそうだ。(本誌・田中将介)
※週刊朝日 2019年6月28日号