かつて一世を風靡(ふうび)したレンズ付きフィルム「写ルンです」が、高級品になりつつある。
写真フィルムで約9割の国内シェアを誇る富士フイルムが、6月1日から写真フィルム製品を30%以上値上げした。
フィルムカメラは撮影した写真をデータ化すれば、インスタグラムに投稿できることもあり、根強い人気を誇る。一方で、同社によると、デジタルカメラの普及でフィルム需要はピーク時の1%以下だという。
「今回はやむにやまれず、値上げを決めました。若年層にフィルム独特の魅力を感じていただいているのですが、とはいえ最盛期に比べると需要は減っているため、製造コストが高くなっています」(同社広報)
高価格帯で勝負するという戦略ではないようだ。
それでも、「フィルムカメラを使い続けたい」と話すのは20代の女性フォトグラファー。
「フィルムカメラでなければ表現できないものを撮りたいと思い、愛用しています。デジタルとフィルムは明らかに違うので、周りの若手カメラマンも使っています。現像も手間だと思ったことはありません。使う人が少なくなれば(値上げは)予想していました」