1965年12月、青年海外協力隊の第一陣が、ラオスへ飛び立った。以来54年、4万人を超える協力隊員が約90カ国で活動してきた国際交流の“老舗”だが、近年応募者数が減っているという。
協力隊は政府開発援助(ODA)をもとに国際協力機構(JICA)が実施するボランティア事業で、20~39歳の日本人らで構成される。
2014年にカンボジアで人材育成に携わった70代のJICAシニア海外ボランティア経験者は、若い頃に青年海外協力隊に憧れたという。
「まだ海外に簡単には行けない時代、国際貢献活動をしている人は実にかっこよく見えた」
しかし、派遣者数は2009年を頂点に減少傾向にあるという。
JICA広報によると、協力隊応募者数は2010年約4000名だったのが、18年には約2000名と半減している。
「近頃の若者の内向き志向が、減少の一因では」(元協力隊員)と指摘する声も聴かれる。応募者が激減することで隊員の質に影響がでるのではないか、と懸念の声もあがってる。
現在、国際協力に携わりたいと思っているが、青年海外協力隊には興味がないと20代の男性は話す。
「あらかじめ決められたレールにのることにあまり興味を抱けない。それであれば、ゼロからその国にいって自分でニーズを汲み取って団体を立ち上げる方がやりがいがあるのでは」
別の20代の男性は「国際協力にも選択肢が増えたこと」をあげる。
「国際協力にかかわりたければ青年海外協力隊でなくても、NGOもたくさんある。近年は、ビジネスとして国際協力をしている人も増え、情報発信も盛んだ」
こんなデータもある。
JICAによると、東日本大震災後、応募者数が減ったことにより、派遣人数が半減したという。
国内でも取り組むべき課題は山積していることに気付き、あえて海外にでる必要性が小さいと感じた若者もいるということか。
とはいえ、4万人を超える隊員が半世紀余りもの間、それぞれの地で培ったノウハウや信頼関係はかけがえのないものだ。このバトンは引き継がれるべきものだと思う。(本誌 田中将介)
※週刊朝日オンライン限定記事