テニスクラブに到着した上皇ご夫妻(C)朝日新聞社
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テニスクラブに到着した上皇ご夫妻(C)朝日新聞社
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 5月5日、上皇さまと上皇后美智子さまは、港区南麻布にある「東京ローンテニスクラブ」を訪れた。

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 ここは、ご結婚前にお二人が何度もテニスをした思い出の地。毎年、こどもの日の前後には、ちまきとかしわを持って訪れてテニス仲間と旧交を温めていた。ちまきは、お二人の思い出の品だ。テニス仲間であり、ご結婚でキューピッド役を務めた織田和雄さんが言う。

「まだ正田美智子さんがおきさき候補の一人だった昭和33年5月4日。日本郵船の飛田給体育場テニスコートでトーナメントが行われたとき、皇太子さまがお土産でちまきを配った。正田美智子さんは、手に載せたちまきを、うれしそうに眺めておられた。お二人は、その思い出をずっと大切にしておられ、毎年ちまきをお持ちになるのです」

 この日、クラブから退位のお祝いの花束とケーキが贈られた。

「急にスポーツをおやめになると、身体も衰えますからテニスでも卓球でも続けてください」

 織田さんの言葉に上皇さまは、「そうだね」とうなずいた。退位しても、ご夫妻の外出にはこれまで通り警衛が付く。

「遠慮されて外出を控えることがないとよいのですが。これからもたくさんテニスをしていただきたい」(織田さん)

 上皇ご夫妻は、仮住まいである港区の高輪皇族邸に移ったのち、赤坂御用地にある赤坂御所(仙洞御所)へ移る。しかし、代替わり直前まで公務が続いたため、引っ越しの準備は手つかずだった。

 美智子さまが公務で着用した服やドレスに帽子、着物といった身の回りの品だけでも大変な量。たとえば帽子は、一つ一つ写真を貼った箱で保管といった具合に広い場所が必要だ。

 元宮内庁職員の山下晋司氏もこう話す。

「家族の思い出を大切にされる上皇上皇后両陛下ですから、天皇陛下がお乗りになっていた乳母車も手元に残しておられます。赤坂御用地には、お 荷物などを保管する倉庫も建築されましたが、プライベートな物の整理はご本人たちでないとできないでしょう」

 まさに「断捨離中」なのだ。

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お二人の姿はどこで