活動再開時、唯一の新曲だったストレートなロック・ナンバーの「ALRIGHT」は彼らの意気込みがうかがえた。再集結へのメンバーの思いと同時に、活動休止中に日本で起きた様々な出来事を振り返り「いま、この国で、僕らイエローモンキーがどう機能すればいいのか?という命題と向き合う機会にもつながった」と吉井は語っている。
とはいえ、再集結当初、吉井は「いかに我々がもう一度イエローモンキーにならなきゃいけないかということに必死でした~この時代にイエローモンキーがもう一度再集結するのはどういうことか?っていう意味を見つけることが一番重要だった」と語り、「ものすごい壁にぶちあたりました」とも明かした。
初回限定盤のDVDには16年から18年にかけてのライヴ・セレクションとともに、15年ぶりに4人で音を出したスタジオ・セッションも収録されているが、再集結当初のドタバタぶりがうかがえる。
活動再開後の初シングルとして発表された「砂の塔」はTVドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』の主題歌。タワーマンションの住民の暮らしぶりをシニカルに描いた歌詞は吉井ならではのものだが、深みを増していた。歌謡界で活躍する船山基紀に弦の編曲を依頼。哀愁を帯びた歌謡曲テイストに新味が見られた。
対照的なのがTVドラマ『天 天和通りの快男児』の主題歌の「天道虫」。疾走感のあるギター・リフによるアップ・テンポのブギ・ロックで、ガレージ・ロック的な趣も。「ちょっとやさぐれたワイルドな感じになった」と吉井は語る。
次いで収録されたのが本作『9999』の幕開けを飾る「この恋のかけら」。幻惑的なイントロのギター、不安をかきたてるドラムなど、雄大なスケール感を持つ演奏展開だ。前作『8』のラスト曲の「峠」の流れをくむところから冒頭に配したという。吉井の明瞭なヴォーカルの説得力とともに、プロデュースをサポートした土屋昌巳のアイデアによるというミック・ロンソン風のギターが耳を引く。