Common Ground
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7月に来日公演を行うバートンのピアノレス・クァルテット
Common Ground / The New Gary Burton Quartet

 ゲイリー・バートンは両手に2本ずつ持つ4本マレット奏法を発展させたことで、ジャズ史にその名を刻むヴィブラフォン奏者だ。1971年にバークリー音楽院の教員に就任してからは、教育者としてもジャズ界に顕著な貢献を果たしている。

 バートンは優れた才能の若者と日常的に接するアドヴァンテージを、自身の音楽活動に生かしてきた。小曽根真(p)やトミー・スミス(ts)の他、特にギタリストにその傾向が認められる。60年代のラリー・コリエルを振り出しに、70年代のミック・グッドリックとパット・メセニー、90年代のウォルフガング・ムースピールと、バートン・グループを去来したギタリストは実力者が占めており、バートンの確かな慧眼を再認識させられるのだ。

 この最新作の原題を見ると、ファンならば誰もが思い出す作品がある。73年の『ニュー・クァルテット』(ECM)だ。グッドリックが参加した同作は、その後のバートンの活動における雛型となった原点と言っていい。以降バートンはメセニーとの再会作となる『クァルテット・ライヴ』等のピアノレスの4人編成によるアルバムを多数制作してきた。

 近年は企画色の濃い作品に関わって来たバートンが、わざわざ“ニュー・クァルテット”とクレジットした新作をリリースした心意気が見逃せない。編成はお察しのように、ギター入りのピアノレス・クァルテット。キー・メンバーになるのがギタリストのジュリアン・レイジだ。バートンが出会った時のジュリアン(1988年生まれ)はまだ12歳の少年だったが、早くもライヴ・バンドのメンバーに起用。2004年の『ジェネレーションズ』、2005年の『ネクスト・ジェネレーション』と、バートンのリーダー作に連続参加し、未成年が実力者ぶりを印象づけたのだった。スコット・コリーはニューヨーカーの中では今最も引っ張りだこのベーシストで、ドラムスのアントニオ・サンチェスはパット・メセニー・グループに在籍しながら様々なバンドで活動する多忙な男だ。

 今作の特色はメンバー全員が作曲家としても貢献していること。大きなビート感の中で各人が存在感を発揮する#2、ヴィブラフォンとギターのユニゾン・テーマが躍動する#3、スロー・テンポにバートンらしさが滲む#4、師と自身の美点を生かすレイジの書法が見逃せない#5、ファンキー&スウィンギーな曲調が興奮を呼ぶ#7と、オリジナル中心の選曲に、このタイミングで新四重奏団をお披露目したバートンの自信がうかがえる。ラストの#10は40年前のキース・ジャレットとのダブル・リーダー作収録曲の再演。結局バートンはキースではなくチック・コリアを長年のパートナーに選んだ事実を重ねると、この曲は味わい深い。バートン4はベーシストを替えた編成で7月下旬に来日公演を行う。

【収録曲一覧】
1. Late Night Sunrise
2. Never The Same Way
3. Common Ground
4. Was It So Long Ago?
5. EtudeLast Snow
6. Did You Get It?
7. My Funny Valentine
8. Banksy
9. In Your Quiet Place

ゲイリー・バートン:Gary Burton(vib) (allmusic.comへリンクします)
ジュリアン・レイジ:Julian Lage(g)
スコット・コリー:Scott Colley(b)
アントニオ・サンチェス:Antonio Sanchez(ds)

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