

新元号「令和」に決まった。去り行く平成をジャーナリストの田原総一朗氏が“世界のトップ企業”やGDPなどの変遷を見ながら、振り返る。
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今年の4月いっぱいで平成という時代は終わることになる。
そこであらためて平成という時代を点検しなおしたのだが、実は平成元年、つまり1989年には、時価総額で世界のトップ20社の中に、何と日本企業が14社も入っていたのである。
1位はNTTで、日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行などが続き、東京電力が9位、トヨタ自動車が11位で、日立製作所、松下電器なども入っていて、20位は東芝であった。
欧米の企業は、6位にIBM、10位にロイヤル・ダッチ・シェル、そして12位にGEなどが入っていたが、当然というべきか、中国企業はゼロであった。
ところが、2018(平成30)年には、トップ20社の中に、日本企業は1社も入っていない。日本で1位のトヨタでさえ32位なのだ。
世界の上位を占めているのは、いわゆるGAFAと称されるアップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、そしてマイクロソフトなど、IT企業である。
そしてアリババ(6位)、テンセント(8位)、中国工商銀行(14位)、中国建設銀行(18位)など、中国企業が4社も入っている。
中国勢が、日本を大きく上回って米国に迫っているのがよくわかる。
さらに、1人当たりのGDP(国内総生産)を見ると、平成元年には、日本は世界第4位で、第7位の米国を上回っていた(1位スイス、2位ルクセンブルク、3位スウェーデン)のだが、2010(平成22)年には16位(米国は12位)に落ち、17(平成29)年には25位となっている。米国は8位で、ドイツ(19位)、フランス(23位)、イギリス(24位)などが、日本より上位となっている。
なぜ、日本はここまで落ち込んでしまったのか。
人工知能の研究で、世界でも高く評価されている東京大学の松尾豊氏は「日本は米国から3周遅れ」だと断定した。「完全な負け組」だというのである。