そこで、これからの季節におすすめしたいスポットがある。

 全国各地の城跡は、桜の名所として知られる場所がとても多い。城趾公園として整備されているのが大きな要因で、地元住民の憩いの場となっているほか、多くの観光客も訪れる。

 築城時の姿をそのままに残す現存天守も多く含まれ、姫路城のほか、愛媛の松山城、島根の松江城、そして青森の弘前城の名が挙がる。そのなかでも本誌がイチ押しなのが、弘前城だ。

「弘前城天守を含む弘前公園は観光スポットとして整備されていて、美しく咲き誇る春の桜は日本一とまで言われます。さくらまつりの時期だけで観光客は200万人を上回る規模と聞いています」(小和田氏)

 その人気、推して知るべし。約50種類、およそ2600本の桜が咲き誇る景観は、圧巻のひと言である。今年の桜開花予想は4月20~25日ごろ。満開時期がちょうどGWの10連休に当たる。平成最後、そして新元号初の桜観光にぴったりだ。

 お城巡りというと、どうしても天守ばかりに意識が向いてしまうが、じつはそれ以外にも見所がたくさんある。ここでは、彦根城を例に解説してみよう。

 なんといっても外せないのが、大名庭園である玄宮園。その見事な造作は一見の価値ありだ。とくに鳳翔台からの景観が素晴らしい。また、敷地内にある彦根城博物館も要チェックである。井伊家ゆかりの品々がふんだんに展示されているほか、館内に再現された能舞台は溜め息が出るほどの荘厳さ。城跡の多くにはこうした資料館や博物館が併設されており、これらを見学するのも城巡りの魅力のひとつなのである。また、ゆるキャラのハシリとなったひこにゃんも敷地内のどこかに出没しているはずなので、ぜひ探してほしい。

 さらに彦根城の場合は、城下町にもさまざまな歴史を感じさせる建築物が多く残っており、まさに城郭テーマパークといった趣すら感じさせるのでおすすめだ。今回は歴史的価値、景観、娯楽性などの要素から「名城100」をリストアップした。お城ビギナーから上級者まで楽しめるお城が目白押しなので、これからの春の行楽シーズン、ぜひ足をお運びいただきたい。

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