まったく理解できない。そして、安倍首相に報告したのは、12月28日なのだという。8日間も一体何をしていたのか。

 野党は根本厚労相の資質と責任を糾明し、罷免を求めたが、安倍首相は拒否し、続投させる方針のようだ。両者ともまるでひとごとのように受け答えしている。

 さらに2月13日に衆議院予算委員会で、厚労省が同統計について議論する有識者検討会を設けた15年当時、「首相秘書官が厚労省職員に調査方法などについて問題意識を伝えていた」と明らかにした。

 自民党の笹川博義議員の質問に対して、菅義偉官房長官が「実態を適切に表すための改善の可能性などについて、問題意識を伝えたことはあった」と答えたのである。

 厚労省は15年まで、入れ替えペースや数の変更には慎重だったが、17年に変更方針を固めた。そして、18年1月から調査方法の変更や他の基準変更が重なり賃金の伸び率は過大となった。野党はこれを「アベノミクス偽装」と追及しているが、検討会委員の一人が東京新聞に「官邸か菅長官かがそれまでの調査方法に怒っている、と厚労省職員が強く意識していた」と証言している。

 厚労官僚が、官邸の圧力を感じて忖度した可能性が高い。

週刊朝日  2019年3月1日号

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