2月15日公開の映画「半世界」で、自身が「今までの僕とはかけ離れた役」と語る「普通のオジサン」を演じた稲垣吾郎さん。今作を新たなスタートにふさわしい作品だと振り返ります。
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──「半世界」で演じた役は奥さんと中学生の息子のいる39歳の炭焼き職人。グラスで赤ワイン、ではなくコップで焼酎を飲む男です。稲垣さんのこれまでのイメージとかなり違います。
そうですね。この映画には、親近感を持ってもらえる人しか出てこない。数多くの人々に寄り添える作品になったように思います。僕はこれまで変わった人というか、ちょっと普通じゃない人を演じることが多かったので、市井の人というか、どこにでもいるような人を演じるのはほぼ初めて。それは自分にとって新しい経験だったし、自分の新しいスタートにふさわしい作品になったかなって思います。
──ご自身のなかで何か変わったことってありますか。
この映画に出たことで、僕が演じた紘のような毎日コツコツ仕事をしている人たちによって世の中は成り立っているんだなあって、気づかされました。僕は、東京に生まれて東京で育って、結構小さなときから芸能界で生きてきましたから、なかなかこういう世界にふれることがなかったので。目がいかないことがあるんですよね。
──「普通の人」の役づくりは、どうやってなさったんでしょうか。
それはもう、阪本順治監督の力ですね。それと、スタッフとその土地に1カ月ぐらい、撮影のために合宿のように一緒に滞在する時間が持てたことも大きい。おかげで、自然と役になりきれました。もちろん僕だけ仕事で東京に帰ったりもしたんですけど、その場にいると役に染まっていくことができるというか、環境が自分をその気にさせてくれるというか。それはどんな仕事でもありますけど。今回は特にそれが生きましたね。
撮影しながら、各部所の映画職人の皆さんが手間ひまをかけて、ワンシーンワンシーン、丁寧に丁寧に作り上げていくプロセスを見ることができたのも、収穫でした。