すると、「そんなことを言いだしたら、安倍内閣が大揺れになる。だから、そうならないために、沈黙しているのだ」と答えた。つまり組織防衛のためだというわけだ。
だが、私が信頼している最高幹部の一人にそのことを言うと、「実は困ったことなのだ」と率直に語った。
議員たちは安倍首相のご機嫌をとることばかり考えていて、ご機嫌を損なうことを恐れている。だから「問題あり」だとは言えず、この国のためにはこうすべき、こうしてはならないと、思い切ったことが言えなくなっているのだという。
要するに、自分の身を守るために、組織防衛という言葉を使っているということだ。
東芝の中堅以上の社員たちも、厚生労働省の官僚たちにも同じことがいえるのだろう。厚生労働省の問題でいえば、問題の徹底解明を求め、責任を糾明すべき担当大臣などの政府関係者が、まるでひとごとのような答弁をしている。
こうした姿勢は、森友・加計疑惑のときから顕著になった。財務省が決裁文書を改ざんして、そのことが露呈したとき、当然責任を取って辞任すべき財務大臣が、個人的な仕業であって財務省には責任がない、と言い、なぜかそれがまかり通ってしまった。だから、厚生労働大臣も自分自身の責任は感じていないようだ。国民がもっと厳しくならなくては!
※週刊朝日 2019年2月15日号