夏に参院選を控え、その去就が注目されている前大阪市長の橋下徹氏(49)。キレっ切れの論客に80分間、戦いを挑んだのはジャーナリストの田原総一朗氏(84)だ。「無責任だ」「人の話を聞け!」と机をたたきながら、ガチンコの激しい論争の末、2人が導き出した結論とは?
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橋下徹(以下、橋下):僕は今回の対談で通り一遍のことをお話ししてもしょうがないなと思っているので、今日はあえて議論を吹っかけたい。野党が弱くなった理由の一つとして、僕はメディアの責任、政治批評の責任があると思っています。
田原総一朗(以下、田原):どういうこと?
橋下:田原さんはじめ、メディアの第一線で活躍されている人の政治批評が適切でない、ということです。
田原:おもしろい。
橋下:僕は政治家をやっていた8年間、批評され続けました。政治家はメディアの批評をものすごく気にしています。民主国家においては、政治とメディアによる政治批評が両輪になって正しく進む。でも、政治家にとって参考にならない政治批評が多すぎると思うんです。
田原:なんで参考にならないんですか。
橋下:政治というのは比較優位の選択の世界。比較してどちらのほうがよりマシかという選択なんです。ところが今の政治批評は、政治家が何か新しいことをやろうとすれば、その問題点ばかりをあげつらう。有権者による選択は大概賢明なのに、メディアを通じてその選択肢が提示されない。
田原:僕は、国民は賢明じゃないと思っている。
橋下:じゃあ、議論しましょう。
田原:もっと言うよ。国民が賢明ならね、なぜ森友・加計疑惑が出たとき、大デモが起きないの?
橋下:モリカケ問題は僕も許せませんよ。でも、今の野党に政権が変わってどうするんですか。
田原:国民は野党に政権をとってほしくないと。
橋下:野党に政権担当能力がないと判断しています。しかし、メディアや政治批評は与党の問題点ばかりを追及するわけですよ。
田原:僕は野党もやっつけてますよ。