牛「おまたせ、子ガニどん。栗と蜂はまだ来てねえけ? 遅えから先ぃ来ちまったよ」
子ガニ「あれ? おかしいな……あ、来た来た……なんだ? 一緒にうすもいる……」
栗「連れてきたぞー、うすどん!」
子ガニ「(小声で)違えよっ! おらが頼んだのはうすだ!!」
栗「だからうすだんべ?」
子ガニ「いやいや! う、し!う、す、でねぇの!! 臼よんでどうやって仇討ちすんだよ!?」
牛「……子ガニどん、これどういうこった! おらは必要ねえのけ!?」
子ガニ「そうでねぇのす、うすどん! いや、牛どん!(汗)」
牛「臼がいるならもうええな!おらもよく間違われてもうこりごりなんだ! もう帰ぇるから! モウ~!」
子ガニ「……行っちゃった。なんでお前たち、『うす』と『うす』間違ぇんの!?」
栗・蜂「子ガニどんも言えてねえでねぇかっ!?」
ふと牛が立ち去った後を見ると、こんもりと湯気のたった牛の糞。しばらくすると、「お……ら……で……よ……けれ……ば……」。
全員「クソが口きいた(驚)」
要するに訛りが原因のダブルブッキングによる『奇跡のアライアンス』。牛の糞が猿をスリップさせて、上から臼が落ちてくるツープラトン攻撃が生まれたのも、牛の短気のおかげなのだ。そんな妄想していろいろ調べていたら、『牛の糞』じゃなくて『ヌルヌルの昆布』の文献もあってギャフン! お伽噺の沼、深し。
※週刊朝日 2019年2月1日号