「それぞれの大学の特徴が異なるので、北九州の強みができる。市外の中学や高校に通う子も多いので、付属の中高一貫校をつくる案も考えている。これから議会で議論を深めたい」

 北陸では、富山、福井、金沢など北陸3県の国立大を統合する「北陸地区国立大学構想」もある。

 北陸地方では教育や研究の活発化を目的に国立大同士で連携や協力を進めた経緯がある。金沢大が他大学に声をかける形で、02年に国立7大学で「北陸地区国立大学連合」を立ち上げ、遠隔授業などに取り組んだ。

 7大学を合わせると京都大に匹敵する規模になる。当時、金沢大学長だった林勇二郎・北陸先端科学技術大学院大学長特別顧問はこう語る。

「当時は学生や地域にとって何がいいのか、ということを考えて動いた。今は地域が衰退し、難しい課題に直面する中で、大学が各地域に個々に存在していていいのかという見方もある。統合に関連した議論は出てきている。統合してそれぞれの大学の強みをさらに発展させる考えはあり得ます」

 四国は18歳人口の減少が激しい地域だ。前出の小林さんは「大四国大をつくることはあり得る。そうでもないと埋没していく」という。実際、四国でも大学統合の話が浮上している。

 四国経済連合会によると、昨年10月に開催された四国経済連合会と徳島、香川、愛媛、高知の国立大学長らが集まった懇談会で、経済界側から、各大学で重複する学部を整理し、限られた資源を得意分野に重点配分する案が出た。大学側からは「新幹線がなく、大学間の移動が現実的ではない」と消極的な意見にとどまり、「今は連携を進める」と確認したという。

「リニアで3大都市圏が一体化していこうというときに、四国は県内で時間をロスし、連携や統合にも後れをとる状況が続いている。危機感を持っています」(四国経済連合会事務局長)

 教育分野でも統合の波は迫っている。多くの国立大で教育学部を抱える一方で、少子化のため教員数が多い環境だ。19年と比較して30年には公立小中学校の教員需要はおよそ半分になると予測されている。そのため、文科省は教育系の大学や学部を統合したい考えだという。

 こうした状況を受けて、群馬大と宇都宮大は共同教育学部の開設を検討している。そのほか、東京学芸大や国立音楽大、上智大など国私立10大学で教員養成高度化のため連携協定を結ぶ。

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