ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。ツイッターに投稿される女性への嫌がらせや侮辱、脅迫の実態を解説する。
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「ツイッターは女性にとって有害な場所である」──国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、6500人を超えるボランティアやAI開発企業「エレメントAI」の協力を得て実施した調査結果を12月17日に公表した。女性がツイッター上で直面する嫌がらせや侮辱、脅迫の実態を明らかにした。
調査では、英米778人の女性ジャーナリストと女性議員(英議会、米上下院)を対象とし、彼女たちに2017年の1年間に寄せられたメンション(言及ツイート)が分析された。分析にあたっては、ボランティアが28万8千件のツイートを「加害的な(abusive)」もの、「問題がある」もの、いずれにも該当しないものの三つに分類。「加害的な」ツイートはツイッターの規約で明確に禁じられているような性的、身体的暴力の脅迫などを含むもの。「問題がある」ツイートは「お嬢さんは皿でも洗ってなさい」というような、加害的ではないが侮蔑的なものとした。この分類を基に、機械学習を利用して1450万件のツイートが分析された。
その結果、これらの女性に対するメンションの約7.1%(110万件)が「問題がある」か「加害的な」ツイートであったという。実に30秒に1回のペースでこうした有害なツイートにさらされていることになる。属性別に見ると、有色人種の女性は白人女性に比べて約34%も多くの攻撃を受けており、黒人女性に至っては84%も多かったという。人種による違いも鮮明に表れており、黒人は人種差別を、ラテン系は暴力的な脅迫を、アジア系は人種・民族・宗教的中傷を受ける傾向にあった。