『ミッション・インポッシブル:マイ・ライフ・イン・ミュージック』ラロ・シフリン著
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 『ミッション・インポッシブル:マイ・ライフ・イン・ミュージック』は文字通り、『ミッション・インポッシブル』を始めとする数々のサウンド・トラックを作曲した天才、ラロ・シフリンが彼の人生と音楽の歩みを著した興味深い自伝である。シフリンは、ミュージシャン及びコンダクターとして活躍する一方、60を超えるクラシックやジャズの楽曲、100を超えるサウンド・トラックを創作してきた。彼は、『ミッション・インポッシブル』の他、『ザ・デッド・プール』、『タンゴ』、『ザ・フォックス』、『ヴォイイッジ・オブ・ザ・ダムド』、『ザ・アミティーヴィル・ホラー』、『ザ・スティングII』、『ザ・マン・フロム・アンクル』等の音楽を手がけている。

 本書は、アルゼンチンにおけるミュージシャンとしてのスタート・ラインから、1950年代に身を置いたパリのクラシックとジャズの音楽シーン、その後のアメリカでのディジー・ガレスピーとのバンド活動(1958年~63年)、そしてサウンド・トラックの傑作を生み続けた創造的発展にいたるまで、シフリンの音楽人生を余すところなく綴る。また、国際人シフリンの体験を投影しつつ、彼が仕事を共にした世界的な偉才の横顔をも伝える。

 同時に、ジャズ、クラシック、サウンド・トラックという三つの重要な音楽スタイルの橋渡しをしたコンポーザーは、音楽のジャンルばかりか、政治、文学、旅に関する貴重な見識を明らかにする。

 ミュージシャンであり、学者、知識人、哲学者、人格者でもあるラロ・シフリンの回想録『ミッション・インポッシブル:マイ・ライフ・イン・ミュージック』は、音楽全般の愛好者や研究家のみならず、芸術的な感性を持つすべての人々を魅了することだろう。

●本書に寄せて

「ラロ・シフリンのこの自伝は、創造性と音楽と情熱に関する本だーーつまり、私たちが求めてやまない理想的な人生を描いている」(ジェイムズ・モリスン、トランペッター)

「ラロ・シフリンの伝記は、多くの分野において彼のミッションを認識し遂行した、才能あるミュージシャンのすばらしい物語だ。この本は、本当の意味での成功が才能とハード・ワークによってもたらされうる経緯を鮮明にし、特に若いミュージシャンには刺激的な一冊になると思う。自伝の刊行と優れた音楽活動を祝して、ラロにはおめでとうと言いたい」(ケニー・バレル、カリフォルニア大学音楽科及び民俗音楽科教授)

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