
ディジー・ガレスピー(トランペット)は、ジャズ・シーンにおいて、きわめて重要にして最も愛されるミュージシャンの一人である。
角ぶちのメガネ、ヤギ髭、ジャイヴトーク、ベルが上向きのトランペット――彼は、ビバップを最も視覚的に体現したヒップスターだった。また、ルイ・アームストロングの音楽を継承し、モダン・ジャズ・トランペットの演奏スタイルを確立するとともに、半世紀にわたりジャズの愛好者ばかりか一般の聴衆をも魅了した。
本書『グルーヴィン・ハイ』は、ディジー・ガレスピーの伝記の決定版と言える。著者アリン・シプトンは、1930年代のスウィング・バンドにおけるトランペッターとしてのデビュー当初から、40年代の革新的なビバップ活動、50年代に得た彼自身のビッグ・バンドのツアーによる世界的な名声と賞賛、そして90年代初期に及ぶ彼のキャリアを特徴づけた数多くのレコーディングとパフォーマンスに至るまで、その注目に値する音楽人生を余すところなく綴る。
シプトンは一貫して、ビバップを創造し、それを枢要なジャズ・グループで演奏し、その音楽性を伝授し、ビバップ独自のレパートリーを助長する上で最も大きな役割を果たしたのは、通説となっているチャーリー・パーカー(アルト・サックス)ではなく、ガレスピーであると主張する。
さらにシプトンは、ガレスピーの私生活の裏側、女性関係(彼が認知した娘は、現在ジャズ・シンガーとして活躍中)、時には必要以上に冷酷になる陽気な男の側面をも探る。
本書は、ジャズとジャズ史上最も革新的で魅力的な人物に興味を抱く人々にとって、必読の書である。
●書評の紹介
「ジャズの貴重な参考文献だ」(ニューヨーク・タイムズ)
「シプトンは、新事実を伝え、ビバップの通念に含みを持たせている――特にガレスピーの貢献に関して」(ワシントン・ポスト)
「この上なく説得力のある意味深いジャズの伝記だ…『グルーヴィン・ハイ』は、ガレスピー自身が自伝で語らなかった空白の部分を見事に埋めている…ガレスピーの芸術性と人間性を徹底的に研究した優れた評伝だ」(イマージュ)

