赤木さんはロケ現場でも気配りを忘れなかったそうで、極寒の時期には、スタッフに毛糸の手袋をプレゼントし、岡野さんも“母ちゃん”からの贈り物として大事にしまっているという。
94歳で亡くなった赤木さんは、岡野さんの母の1歳下にあたる。
「天国でいろんな人とお会いするでしょうが、一番最後でいいから、母ちゃんに会ったら、ふたりでおでこをくっつけてほしいな、と思っています」
芸能評論家三杉武さんは、赤木さんをこう評価する。
「高齢になられて映画の主演のオファーがくるということはなかなかないこと。赤木さんは業界内で演技力が評価されているだけでなく、人間力も評価されていたからこそだと思います」
赤木さんといえば、「渡る世間は鬼ばかり」の嫌みな姑役の印象が強いが、引き出しは多かった。
「『3年B組金八先生』では赤木さんは校長先生役。渡鬼では、憎まれ役だったと思いますが、金八では生徒たちを愛する校長先生を演じ、多感な時期の生徒たちを相手に奮闘する金八先生(武田鉄矢)をサポートする姿は印象深かった。演技の幅が広いなと感心させられました」(三杉さん)
また一人、名優が去っていった。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日 2018年12月14日号より加筆