学長と名将の対立の真相を探るべく、本誌はパワハラ騒動の発端となったホルモン焼き店の会合に出席していた中畑氏を直撃した。
──会合で「コーチの結婚式で監督辞任の発表をしたら良いのではないか」と言ったか?
「はい。オレが胸を張って話をしたこと。学校にとっても大八木氏にとっても、よい方向へ行ってほしいと思って話した。それが別にどういうふうに書かれようがしょうがない」
──大学の内部監査室から、調査はあったか?
「ありましたよ。それは大学から直接。それはありのままを話しましたよ」
──大八木監督のパワハラの訴えをどう考えますか。
「自分を正当化しようとする話にどんどんなっている。アマチュアスポーツの監督はアマチュアらしい生活をしてないと、学生たちのためにならないと思う」
駒大陸上部は箱根駅伝で08年に総合優勝して以来、この10年間の成績は2位が4回、3位が3回と上位争いが多かったが、今年は12位と振るわなかった。そうしたことも、「辞職勧告」に拍車をかけたのか。大八木監督を応援する駒大OBはこう話す。
「そういう側面もあるでしょうね。駅伝では功労者で大学の宣伝にもなってきたのだから、大八木監督を責めたてても、大学のイメージが損なわれるだけ。監督の問題というよりも、むしろ、問題を解決できない学長の問題ではないか」
当の長谷部学長は、弁護士同席の上で本誌に2時間近く経過を説明した。
──ホルモン焼き店で大八木監督に辞職勧告したか。
「中畑さんらが監督に辞表を書くように言ったのを受ける形で『預かってもいいですよ』と話しただけ」
──なぜ、勧告したか。
「2年前、前陸上部長の訴えがあり、調査したところ、監督はスポンサー企業と年間契約し、1千万円の報酬が陸上部大八木名義の銀行口座に振り込まれていた。契約内容を確認すると、陸上部の学生らに関する条項もあり、陸上部の口座は大学で管理すべきと顧問弁護士が判断した。誹謗中傷の類ではない」