外見の美しさとともに、演技力にも注目が集まる若手トップ俳優の一人、志尊淳。驚くほど真摯に仕事に向き合う姿勢こそ、その輝きの秘密だろう。
連続ドラマ「女子的生活」ではトランスジェンダーのヒロインを、朝ドラ「半分、青い。」ではゲイセクシュアルの漫画家を演じ、いずれもその演技力と美しさが絶賛された。LGBTの役が続いたことは、特に意識しなかったという。
「どの役柄もひとりの人間として捉えて演じさせていただいています。ただ、僕の表現一つで世間に間違ったイメージを持たれてしまったり、不快な思いをさせてしまう可能性はある。そこは意識して、責任を持って発信しなくてはと思いました」
その美しさから、“かわいくて女性的”と思われがちだが、語る言葉は骨太だ。
「友人たちはいじってきますよ、『よう、かわいい系俳優』って(笑)。僕自身、『かわいい』って言われるのは新鮮です。でもそう言っていただけるのは、素直にうれしいです」
公開中の映画「走れ!T校バスケット部」で演じる“ごく普通のカッコいい男の子”役は新鮮に映る。
「今回は等身大に近い役柄で、誰もが学生時代に抱いたことのある感情を、繊細かつ大胆に演じようと思いました」
志尊さん自身の青春は?
「仕事ですね。高校1年生のときにスカウトされたのですが、なんの技術もないのにお金をいただくのは筋が通らないと、1年間養成所に通いました。デビューしてからは重圧がすごくて最初は演技を楽しむような余裕はなかったのですが、役者という仕事には正解がないし、不特定多数の方に自分の成長を評価していただける。やりがいは大きいです。今は少しずつ演じることを楽しめるようになってきました」
映画では恋愛模様も描かれる。好きな女性のタイプを聞いてみた。
「自立している女性が好きです。すぐに『わかんない。教えて』って言われると、『自分で調べられるでしょ?』って思います(笑)。考えて行動できる、好奇心やエネルギーを持っている人に惹かれます。女性に限らず、責任感のある人がいいなと思います」
インタビュー中、何度も“責任”という単語が飛び出した。「今は頭の中の95%を仕事が占めているし、そうでなくちゃいけないとも思う」という言葉から、真面目すぎるほどまっすぐな情熱が伝わってきた。(本誌・野村美絵)
※週刊朝日 2018年11月23日号