1週間後にはかなりよくなっているので、顔はタクロリムス、からだは2~3番目のランクに変える。
症状がよい状態で安定したら、ランクはそのままで1日おき、次は2日おきといった具合に塗る間隔をあけていき、週1~2回にまで減らす。このように、症状がなくても定期的に薬を塗る方法を「プロアクティブ療法」といい、ぶり返しを防ぐのに有効だ。湿疹のない状態が3~6カ月続いたらやめてもよい。
薬物療法の効果は、皮膚を見れば本人にもおおむねわかるが、一見よくなったようでも、炎症は治まっていないことがある。病勢を知るのに役立つのが、「TARC」という血液中のたんぱく質だ。月1回、測ることができる。
成人の基準値は、軽症が500~1300pg/ml未満(以下、単位略)、中等症は1300~4千未満、重症は4千以上だ。正常値は450未満だが、そこまで下がらなくてもよい。症状が改善したと本人が感じ、それが数値で裏付けられることが大事だ。それにより、自分の治療行動が正しかったという自信が生まれ、治療意欲が高まる。医師にとっては、処方変更を検討する目安にもなる。
治療の2番目の柱であるスキンケアは、薬物療法と併用する。バリア機能が低下した皮膚は、ささいな刺激でも炎症やかゆみが生じやすい。この状態を改善するために、保湿剤を入浴後などに全身に塗る。薬を塗らなくてよくなっても、スキンケアは続ける。最終的には、保湿剤のプロアクティブ療法だけでコントロールすることが理想だ。
「外用療法もスキンケアも、患者さんが自宅で、自分でおこなうものです。治療の主体が自分だという意識が高いほど、効果も表れやすくなります」(中原医師)
(ライター・竹本和代)
※週刊朝日 2018年11月23日号