消費増税は企業業績にどんなインパクトを与えるか。駆け込み特需とその後の買い控えの消費への影響、軽減税率の恩恵がどんな企業に及ぶかなど注目点は多い。海外では米国中間選挙や貿易摩擦の行方が気になる。こうした動きからどんな銘柄に注目すべきか、専門家に聞いた。
* * *
お酒や外食を除く飲食料品は軽減税率が適用され、税率は8%に据え置かれる。そこで、楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは食品スーパーに注目する。29期連続で増収増益の埼玉拠点のヤオコーについて、「巨大コンビニのようで、店内が充実している」と指摘する。
同様に埼玉拠点のベルクも好業績で、全店が同様なつくりで合理化されていると評価。ただ、株式市場では「地味で注目されていない」とみている。
コンビニも注目銘柄だ。ドラッグストアの攻勢などで国内の急成長は難しいが、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は海外展開を進めて業界内で優位に立つ、と窪田氏は指摘。減益見込みのローソンも事業見直しを進めており、株価がピークから相当下がった現在は好機とみる。軽減税率の恩恵はコンビニにも及ぶ。
税率変更や軽減税率で、レジなどの会計現場が混乱するかもしれない。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、会計ソフトなどを扱うシステム業界の商機拡大を見込む。会計のシステム開発に強いオービックに目をつける。
政府は税率上昇分をポイント還元する方針も示し、キャッシュレス化が進む可能性がある。株式アナリストの鈴木一之氏は、クレジットカード決済関連でTISやGMOペイメントゲートウェイをあげる。TISはJCBなどカード会社の基幹システム開発に強く、GMOはネットショップやオンライン通販のカード決済システムをてがけている。
景気に左右されない成長分野への関心も高い。
楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは、クラウド・コンピューティング、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボティクス、様々なものがネットにつながるIoTなど「デジタル革命」関連に目を配っている。