そして14年、「これを見に来てくれた人が、“うんともすんとも言わない顔”をしていたら役者をやめよう」という思いで向き合った舞台「ヒストリーボーイズ」での演技が絶賛され、読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した。
「本番中の板の上で、それまで経験したことがない感覚を味わいました。覚悟を決めて臨んだ舞台で、多くの人が心から楽しんだ顔をしてくれた。うれしかったですね」
そこから徐々に映像の仕事も増え、今やだれもが認める売れっ子に。だが、苦労の末にたどりついた今のポジションにも浮かれる様子はない。
「『あれがやりたい』『こうなりたい』という目標が叶う15秒くらい前に、次のこと見ちゃうんですよ。これは性分ですね。この状況はうれしいし、目指してきた段階ではありますが、何一つ確かなものはない。これからですね」
演技にも言葉にも考え方にも、“ならでは”の味がある。中村倫也にハマる人、まだまだ増加しそうです。(本誌・野村美絵)
※週刊朝日 2018年10月26日号