米国では、シリコンバレーにあるIT企業を中心に、立ってデスクワークをするスタンディングデスクが浸透。近々、国をあげてのガイドラインが完成すると言われている。
オーストラリアでは官民一体となり、テレビCMで「脱・座りすぎキャンペーン」の動画を流して警鐘を鳴らした。
各国で調査と研究が進むにつれ、座りすぎは肥満や糖尿病にとどまらず、肥満や糖尿病が危険因子になる高血圧症や心筋梗塞、脳梗塞、がんなどの病気も誘発し、死亡リスクも上げることが明らかになった。日本での注目度が上がったのは、そのころからだ。
日本人の心筋梗塞や脳梗塞の罹患率は高く、がんは死因の「不動のトップ」。座りすぎは無視できない問題である。岡教授は言う。
「しかも、日本人は世界で一番長く座っている国民なんです」
シドニー大学の研究者たちが世界20カ国・地域の成人を対象に、平日の総座位時間を調べたところ、日本人の中央値は1日420分(7時間)だった。全体の平均中央値である1日300分(5時間)より、2時間も長かった。
日本人は勤勉で長時間労働を厭わないから、多くのデスクワーカーが座りすぎに陥っているとも言われる。すでに大手IT企業や外資系企業などでは、スタンディングデスクを導入している例もある。働き方改革の一つとして、座りすぎ対策を進める企業も出てきた。(茅島奈緒深)
※週刊朝日 2018年10月19日号