また、ユーザー側からは、依然としてフィルター技術の精度は低く、インターネット上のあらゆるコンテンツが「検閲」されかねないとの批判も強い。

 もう一つの争点は、「リンク税」とも呼ばれる第11条だ。

 新聞社や雑誌社などは、記事のリンクにスニペットと呼ばれる抜粋を付与することへの許諾権が与えられ、それを利用する検索エンジンやニュースアグリゲーション(集約)サービス、ソーシャルメディアなどから使用料を徴収できるようになる。

 一般に検索サイトやソーシャルメディアでは、報道記事は見出しや抜粋とともに表示されており、それが無料でいままで自由に使用されてきた。その使用料をグーグルやフェイスブックに払わせようという動きだ。実際の税金ではないが、情報の自由な利用を制限するものだとして、反対派からは「リンク税」と揶揄(やゆ)されている。

 このリンク税もその有効性が疑問視されている。過去にスペインやドイツがグーグルニュースを標的として、同様の制度を導入した。だが、いずれもグーグルニュースが撤退、あるいは抜粋を非表示にしたことで、大手報道機関へのアクセスが激減し、見直しを余儀なくされた。それがまた繰り返される可能性もある。

 今回の著作権指令案で、ビジネスモデルを巡る紙とウェブの対立は極まった感が強い。この対立はいずれ、EUだけでなく、世界中に広まっていくことになるだろう。

週刊朝日  2018年10月5日号

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