対中強硬派として知られるマルコ・ルビオ氏ら米上院議員6人は、「人権侵害への加担」となりかねない再進出計画について、グーグルのサンダー・ピチャイCEOに説明を要求。人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」の中国リサーチャー、パトリック・プーン氏は、「中国市場に参入するために検閲を受け入れた」と非難し、中国の検閲システムが世界中に拡散することへの懸念を表明した。
グーグルの社内掲示板にも、この計画に対する批判的な意見が書き込まれ、なかには退職を決意した従業員もいるという。スクープ自体が内部関係者からのリークであることからも、従業員からの強い反発がうかがえる。
グーグルは15年に、創業以来使ってきた社是「Don't be evil(邪悪になるな)」を「Do the Right Thing(正しいことをやれ)」に変更した。今回の決定は本当に正しいことなのか。民主主義国家と権威主義国家がサイバー空間における新たな「冷戦」に突入しつつあるいま、グーグルに問われているのは、民主主義国家の企業として、権威主義国家の検閲に応じることが倫理的に許されるのかということだ。
※週刊朝日 2018年8月31日号