ピンク色といってもいろいろあり、一般の人にはわかりにくい。患者さんの口の中の写真の横に、健康な人の写真を並べて見せて、ようやく、「自分の歯ぐきは赤いのだ」とわかってもらえます。
しかし、歯ぐきの腫れだけの段階で治療が開始できれば、まだ、よいのです。この段階に気づかないまま、放置してしまうと歯周病が進行して歯の土台となる骨(歯槽骨)が少しずつ、破壊されていきます。人にもよりますが5~10年かかってじわじわ進み、「歯がグラグラ」してくるので、おかしいなと思う人が増えてきます。このときにはすでに相当に進行した歯周病で、抜歯もやむを得ないケースが出てきてしまいます。
■みがき残しという問題も
もう一つの問題として、どんなにていねいに歯みがきをしたり、デンタルフロスを使ったりしても、百パーセント食べかすを取り除くのが難しい、という現状があります。
歯みがきの癖や歯並びによって、みがき残しが出てしまうからです。さらに硬くなった歯垢は歯ブラシでは容易に取れません。取り残した歯垢は歯周病菌のすみかになるので、一度、歯周病が発生してしまうと、これを抑えることは困難なのです(北欧では口の中の歯周病菌を抑えたり、死滅させたりするために乳酸菌のタブレットなどを投与する方法も実施されています。これについては、機会があれば詳しくお話ししたいと思います)。
ではどうすればいいのでしょうか? まずは症状がなくても一度、歯科医院を受診し、歯周病の有無を診断してもらいましょう。歯周病は軽ければ軽いほど、簡単な治療でよくなるので、通院回数も少なくすみます。
そして、治療が終わった後が肝心です。歯周病は糖尿病や高血圧症と同じ慢性病で口の中に食べかすや歯垢があると、そこからまた、歯周病菌が増殖、活動を始めます。
ですから治療が終わったからと安心してはだめで、進行させないためには定期的なメインテナンス(歯ブラシで取りきれない歯垢を取り除いたり、歯ブラシの指導を受けたりする)が大事になります。